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2024/05/31 コラム

遺言書は何種類もあるの?それぞれの選び方や作成すべきケースも紹介

生前の相続対策として、遺言書の作成を検討している方は多いと思います。
では、遺言書にはさまざまな種類があることをご存知でしょうか。
実は遺言書にはさまざまな種類があり、種類ごとに異なる特徴があるのです。
この記事では、遺言書の種類別に特徴を詳しく解説しています。
遺言書の種類別に作成すべきケースも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.遺言書の方式の種類

一言で遺言書といっても、種類はさまざまです。
なかでも下記2つの方式に大きくわけられます。

  1. 普通方式遺言
  2. 特別方式遺言

それぞれ詳しく解説します。

1-1.普通方式遺言

普通方式遺言は、一般的に使用される遺言書の方式です。
「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があり、それぞれ作成方法やメリット・デメリットが異なります。
特別な状況でない限り、普通方式遺言を作成することが一般的であり、作成の意図や目的にしたがって「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類から適切なものを選択するケースが多いです。

1-2.特別方式遺言

特別方式遺言とは、名前のとおり特別な状況下で利用される遺言書の方式です。
特別な状況とは、死亡の危機が迫っている場合や、伝染病に感染している場合、船舶に乗船している(船舶が遭難して死亡の危機が迫っている)場合などが代表例となります。
特別方式遺言は普通方式遺言と異なり、緊急の状況下で作成されるため、特別方式遺言の作成後6ヶ月を経過しても生存している場合、無効となるので注意が必要です。

2.普通方式遺言の種類

普通方式遺言には下記の3種類があり、種類ごとの作成方法やメリット・デメリットを把握することは非常に重要です。

  1. 自筆証書遺言
  2. 秘密証書遺言
  3. 公正証書遺言

それぞれ詳しく解説します。

2-1.自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が遺言書本文を自らの手で書いて作成する遺言書です。
自筆証書遺言は、簡便であり多くの人が利用しています。
特別な道具や用紙を必要とせず、手元にあるボールペンやノート、印鑑があれば、いつでも作成可能です。
ただし、すべてを手書きする必要があるため、作成に時間がかかることも少なくありません。
詳しい作成方法については、下記の記事でも紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

自筆で作成する遺言書の書き方をわかりやすく解説!例文も複数紹介

また、自筆で作成することで、内容に不備や誤りがあり、無効になってしまうケースも少なくありません。
自筆証書遺言を作成する場合は、要件や内容をしっかりと確認して、慎重に作成することが大切です。

2-2.秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密に保ちながら、その存在だけを公証役場で認証してもらう遺言書です。
この形式の遺言書は、遺言内容を第三者に知られることなく作成できるため、プライバシーを保護する効果があります。
ただし、遺言内容は遺言者以外誰も確認しないので、形式に不備や誤りがあると無効になるリスクがあるので注意しましょう。
秘密証書遺言を作成する場合は、遺言内容や作成形式に注意し、慎重に作成する必要があります。

2-3.公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人2人の立ち会いのもと作成する遺言書です。
遺言内容を遺言者が読み上げ、公証人が内容を文書化します。
作成に公証人が介入するため、形式不備によって無効になりにくい点が特徴です。
また、作成後は原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんなどのリスクを低減できる点も魅力といえます。
ただし、公正証書遺言の作成に立ち会う証人は誰でもいいわけではなく、いくつかの条件を満たした人でなければなりません。
証人は弁護士をはじめとした相続の専門家に依頼することもできるため、遺言内容の考案とあわせて証人の依頼も検討するといいでしょう。

3.遺言書の種類の選び方

普通方式遺言は「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
そのため、自分の要望や状況にあわせて、適切な種類の選択が必要です。
それぞれどの遺言書を選ぶべきか、ケース別に解説します。

3-1.自筆証書遺言を選ぶべきケース

「手軽に遺言書を作成したい」場合は、自筆証書遺言を選ぶべきです。
自筆証書遺言は、縦書きや横書き、用紙などの指定がなく、紙とペンさえあればどこでも作成できます。
そのため、他の遺言書の種類と比較しても、一番手軽に作成できる遺言書の形式といえるでしょう。
ただし、全文自筆でなくてはならない点や、作成後の紛失や改ざんなどのトラブルには注意が必要です。
作成前にしっかりと要件について作成するのはもちろん、必要に応じて弁護士をはじめとした専門家への相談も検討しましょう。
また、作成後の保管については、紛失や改ざんなどのトラブルを回避するために法務局での保管制度の活用もおすすめです。

3-2.秘密証書遺言を選ぶべきケース

「遺言内容を誰にも知られたくない」場合は、秘密証書遺言を選ぶべきです。
秘密証書遺言であれば、作成から相続発生まで、遺言内容を他の人に知られる心配はほとんどありません。
公証役場では、秘密証書遺言の存在だけを認証してもらうので、公証人に遺言内容を知られることもないのです。
ただし、遺言内容を誰にも知られないという性質上、不備や誤りによって無効になったり、遺留分を侵害したりすることには注意する必要があります。
事前に作成要件や注意事項について情報収集をおこない、適切に作成することが重要です。 必要に応じて弁護士をはじめとした専門家への相談も検討しましょう。

3-3.公正証書遺言を選ぶべきケース

「法的に有効な遺言書をより確実に作成したい」場合は、公正証書遺言を選ぶべきです。
公正証書遺言は自筆証書遺言や秘密証書遺言と異なり、作成に公証人が介入します。
公証人が作成要件に注意しながら遺言内容を文書にしてくれるので、形式不備によって無効になる心配がほとんどありません。
そのため、法的に有効な遺言書をより確実に作成したい場合は、公正証書遺言の作成がおすすめです。
ただし、公証人への手数料を支払う必要がある点や、証人2人を用意する点など、考慮すべき点もいくつか存在します。
弁護士をはじめとした相続の専門家には、公正証書遺言作成時の証人も依頼できるので、遺言内容の考案とあわせて不安な点は一度相談してみるといいでしょう。

4.特別方式遺言の種類

遺言書の種類には「普通方式遺言」だけでなく、特別な状況下で作成される「特別方式遺言」が存在します。
特別方式遺言の種類は下記のとおりです。

  1. 一般危急時遺言
  2. 難船危急時遺言
  3. 一般隔絶地遺言
  4. 船舶隔絶地遺言

それぞれ詳しく解説します。

4-1.一般危急時遺言

一般危急時遺言は、病気やけがなどで死亡の危機が迫っている場合に利用できる遺言方式です。
この方式では、遺言者が遺言内容を自ら書くか、証人に代筆してもらうことが可能です。
証人は3人以上必要で、遺言内容を確認したうえで全員が署名押印します。
作成された遺言書は、20日以内に家庭裁判所で確認手続きを受けなければなりません。
確認手続きを怠ると遺言書は無効になるため、注意が必要です。

4-2.難船危急時遺言

難船危急時遺言は、船や飛行機に乗っている際に遭難し、死亡の危機が迫っている場合に利用できる遺言方式です。
この方式では、遺言者が自ら遺言書を作成するか、証人に代筆を依頼する、口頭で伝えて書き取ってもらうことで作成可能です。
証人は2人以上必要で、遺言内容を確認後、全員が署名押印します。
遺言書が完成したあとは、家庭裁判所で確認手続きをおこなう必要があります。
ただし、一般危急時遺言と比較してすぐに確認できないケースも多いため、確認手続きの期限は定められていません。

4-3.一般隔絶地遺言

一般隔絶地遺言は、伝染病をはじめ何らかの理由で隔離され、通常の遺言書を作成するのが難しい場合に認められる遺言方式です。
この方式では、警察官1名と証人1名が作成に立ち会う必要があります。
遺言者本人が遺言書を作成し、代筆や口頭での伝達は認められていません。
また、遺言書には立会人全員の署名押印が必要です。
本人が自ら作成するため、後日に家庭裁判所での確認手続きは不要となります。

4-4.船舶隔絶地遺言

船舶隔絶地遺言は、長期航海によって陸地から離れているため、通常の遺言書を作成できない場合に利用できる遺言方式です。
この方式では、船長または事務員と証人2名以上の立ち会いが必要になります。
遺言者本人が遺言書を作成し、代筆や口頭での伝達による作成は認められません。
また、遺言書には遺言者と立会人全員の署名押印が必要です。
遺言者が自ら作成するため、後日家庭裁判所での確認手続きは必要ありません。

5.遺言書の種類について弁護士へ相談するメリット

遺言書はさまざまな種類があるため、どれを選ぶべきか悩まれることもあるでしょう。
遺言書の種類選びに迷った場合は、弁護士への相談がおすすめです。
遺言書の種類について弁護士へ相談するメリットは、下記のとおりです。

  1. 状況や要望に応じて遺言書の種類を提案してもらえる
  2. 適切な遺言書を作成するためにサポートやアドバイスを受けられる
  3. 遺言書に関する対応を任せられる

それぞれ詳しく解説します。

5-1.状況や要望に応じて遺言書の種類を提案してもらえる

遺言書は作成する状況によって、選ぶべき種類が異なります。 例えば、感染症によって死亡の危機が迫っている場合は、普通方式遺言ではなく特別方式遺言を作成すべきでしょう。
また、遺言書は要望によっても、選ぶべき種類が異なります。
例えば、遺言書を作成するうえで内容を第三者に知られたくない場合は、秘密証書遺言の作成を検討すべきです。
このように、遺言書は状況や要望によって選ぶべき種類が異なります。
弁護士に相談することで、状況や要望に応じた遺言書の種類を提案してもらえるため、適切な選択ができるようになるはずです。
状況や要望に応じた遺言書を作成するためにも、弁護士の専門知識を活用しましょう。

5-2.適切な遺言書を作成するためにサポートやアドバイスを受けられる

遺言書にはさまざまな種類があり、種類ごとに作成方法や要件が異なります。
個人で作成する場合、作成方法の間違いや、要件を満たせないことで、無効となってしまうトラブルも少なくありません。
弁護士は相続の専門家であり、遺言書作成についても専門知識を有しております。
弁護士に相談することで、作成方法や要件を遵守した適切な遺言書が作成できるようサポートやアドバイスを受けることが可能です。
相続対策として有効な遺言書を作成するためにも、弁護士への相談を検討するといいでしょう。

5-3.遺言書に関する対応を任せられる

遺言書は作成して終わりというわけにはいきません。
実際に相続が生じた際には、遺言書に関するさまざまな対応をする必要があります。
また、遺言書に関する対応は、遺言書の種類ごとに異なる点も多いです。
例えば、自筆証書遺言(法務局の保管制度を利用しない場合)や秘密証書遺言を作成した場合、相続が生じた際には遺言書の検認が必要になります。
検認が必要なことを知らずに対応を怠ると、過料の対象となるので注意しなければなりません。
弁護士には遺言書の検認をはじめとした、遺言書に関する対応を任せられます。
事前に相談しておくことで、遺言書作成後も安心でしょう。

6.【まとめ】遺言書の種類選びに関するお悩みは弁護士へ相談を!

いかがでしたか?
今回は、遺言書の種類について、それぞれの選び方や作成すべきケースもあわせて解説しました。
遺言書にはさまざまな種類があり、状況や要望にあわせて適切な種類を選ぶことが重要です。
遺言書の種類選びでお困りの際は、相続の専門家である弁護士へ相談しましょう。

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