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2024/12/20 コラム

公証役場で遺言書作成する際の流れ|必要なものや注意点も紹介

遺言書にはいくつかの作成形式があり、公証役場で遺言書を作成したいと考える方もいらっしゃるでしょう。
公証役場で遺言書を作成する場合、ご自身で作成する遺言書とは異なり、適切な手順を踏む必要があります。
この記事では、公証役場で遺言書を作成する際の流れについて詳しく解説します。
実際に作成するとなった場合に必要なものや、作成における注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

1.公証役場で遺言書作成する際の流れ

公証役場で遺言書を作成する際の流れは、下記のとおりです。

  • 遺言内容の考案
  • 相談の予約
  • 公証人との相談
  • 証人を用意する
  • 作成の予約

それぞれ詳しく解説します。

1-1.遺言内容の考案

公証役場で遺言書を作成する場合、まずは遺言内容を考案しましょう。
遺言内容を考えるときには、主な相続財産を洗い出し、どのような遺産分割を実現したいか考えることが重要になります。
また、相続トラブルを防ぎたい場合は、弁護士をはじめとした専門家に相談することもおすすめです。
遺言内容の考案から専門家へ相談することで、このあとの手続きもサポートしてもらえるため、遺言書の作成がスムーズに進む可能性が高まります。

1-2.相談の予約

遺言内容が考案できたら、公証人と遺言書作成について相談するために、予約を取りましょう。
予約を取る際には、最寄りの公証役場へ電話して日時を決める流れが一般的です。
公証役場によっては予約フォームを用意している場合や、テレビ電話での相談を受け付けている場合もあるので、事前に確認してみましょう。

1-3.公証人との相談

公証人との相談は、遺言内容や要望に応じて、1回で終了するケースもあれば複数回に及ぶケースもあります。
相談料は原則として無料であるため、不明点や懸念点があれば相談によって解消しましょう。
ただし、公証人は個々の遺産分割に関する相談や、相続トラブルを防ぐための相談には応じてくれないので注意が必要です。
遺言内容について相談したい場合は、弁護士をはじめとした相続の専門家に相談しましょう。

1-4.証人を用意する

公証役場で遺言書を作成するためには、証人2人の立ち会いが必要です。
自身の知人に頼むこともできますが、証人はいくつかの要件を満たす必要があるので、誰でもいいわけではありません。
公証役場で証人を紹介してもらうことも可能であり、その場合は1人につき6,000円〜1万円程度の謝礼が必要になります。
弁護士をはじめとした専門家に遺言内容の考案を依頼する場合は、証人の手配もおこなってくれる場合もあるので、事前に確認してみるといいでしょう。

1-5.作成の予約

納得する遺言内容が作成でき、証人を2人用意できたら、考案した遺言内容を文書化するために公証役場の予約を取りましょう。
予約する際には、証人の予定にも注意して、都合のいい日に予約する必要があります。
また、公証人から必要書類を伝えられるので、事前に郵送するか直接持参しましょう。

1-6.公証役場で作成

予約日を迎えたら、証人とともに公証役場に出向きましょう。
遺言者・証人2人・公証人が揃ったら、遺言内容を確認するために公証人が内容を読み上げます。
その際には、公証人が原本を確認し、遺言者が正本、証人が謄本をそれぞれ確認することになるのが一般的です。
内容が問題なければ、出席した全員が署名・押印をして遺言書の完成となります。
内容に問題がある場合は、すぐに申し出て公証人に修正してもらいましょう。

2.公証役場で遺言書作成する際に必要なもの

公証役場で遺言書を作成する際に必要なものは、下記のとおりです。

  • 手数料
  • 実印
  • 本人の印鑑登録証明書
  • 本人の戸籍謄本
  • 遺言者本人と相続人の関係がわかる戸籍謄本
  • 受贈者の住民票
  • 登記事項証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 銀行名や口座番号がわかる資料

それぞれ詳しく解説します。

2-1.手数料

公証役場で遺言書を作成する場合は、公証人の手数料が必要です。
公証人の手数料は法令によって定められており、遺言書の対象となる相続財産の価額によって決定します。
例えば、相続財産の価額が100万円までであれば公証人の手数料は5,000円、100万円を超えて200万円以下であれば7,000円といった形です。
詳しくは、日本公証人連合会のホームページを確認するか、弁護士をはじめとした専門家へ事前に確認しておきましょう。

2-2.実印

公証役場で遺言書を作成する場合は、実印が必要です。
実印は遺言書への押印で使用され、印鑑登録証明書とともに本人確認の役割を担います。
実印の印鑑登録がない場合は、公証役場での遺言書作成ができないリスクもありますので、事前に確認しておきましょう。

2-3.本人の印鑑登録証明書

公証役場で遺言書を作成する場合は、本人の印鑑登録証明書が必要です。
住所のある市区町村役場で取得でき、発行から3ヶ月以内のものでなければなりません。
印鑑登録証明書がない場合は、本人の運転免許証や顔写真付きの住民基本台帳カードでも代用可能です。

2-4.本人の戸籍謄本

公証役場で遺言書を作成する場合は、本人の戸籍謄本が必要です。
本籍地のある市区町村役場で取得でき、発行から3ヶ月以内のものでなければなりません。

2-5.遺言者本人と相続人の関係がわかる戸籍謄本

公証役場で相続人に相続させるための遺言書を作成する場合は、遺言者本人と相続人の関係のわかる戸籍謄本が必要です。
本籍地のある市区町村役場で取得でき、発行から3ヶ月以内のものでなければなりません。
なお、遺言者本人の戸籍謄本に相続人の名前が記載されている場合は、関係を証明できるので不要となります。

2-6.受贈者の住民票

相続人ではない人に遺贈するための遺言書を公証役場で作成する場合は、受遺者の住民票が必要です。
受遺者の住所のある市区町村役場で取得でき、発行から3ヶ月以内のものでなければなりません。
また、法人に遺贈する場合は、資格証明書が必要になります。

2-7.登記事項証明書

公証役場で遺言書を作成する場合、相続財産に不動産が含まれているケースでは、登記事項証明書が必要です。
登記事項証明書は、不動産を管轄する法務局で取得できます。

2-8.固定資産税評価証明書

公証役場で遺言書を作成する場合、相続財産に不動産が含まれているケースでは、固定資産評価証明書が必要です。
不動産のある都道府県税事務所や、市区町村役場で取得できます。
固定資産評価証明書が用意できない場合は、納税通知書の課税明細書でも代用できるでしょう。

2-9.銀行名や口座番号がわかる資料

公証役場で遺言書を作成する場合、相続財産に預貯金が含まれているケースでは、銀行名や口座番号のわかる資料が必要です。
また、相続財産に有価証券が含まれている場合は、証券会社名や証券番号のわかる資料が必要になります。
これらは銀行や証券会社で取得可能です。

3.公証役場で遺言書作成するメリット

公証役場で遺言書を作成するメリットは、下記のとおりです。

  • 形式不備で無効になるリスクを軽減できる
  • 作成後に偽造・改ざんされるリスクを軽減できる
  • 検認の手間を省ける

それぞれ詳しく解説します。

3-1.形式不備で無効になるリスクを軽減できる

公証役場で遺言書を作成する場合、作成に公証人が関与します。
公証人は法律で定められている形式にしたがって、遺言内容を文書化してくれるため、形式不備によって無効になるリスクを軽減できるのです。
遺言者1人で自筆証書遺言を作成する場合、すべて自筆で作成しなければならず、せっかく作成したのに形式不備によって無効になってしまうケースも少なくありません。
公証役場で遺言書を作成する場合、法的な要件を満たした形で作成できる可能性が高いため、形式不備で無効になるリスクを軽減できます。

3-2.作成後に偽造・改ざんされるリスクを軽減できる

遺言書のなかでも自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成した場合、作成後に悪意のあるものに偽造・改ざんされるリスクがあります。
そのため、保管方法に十分な注意が必要です。
公証役場で遺言書を作成する場合、遺言書の原本を公証役場で保管してもらえます。
公証役場で安全に保管してもらえるので、作成後に偽造・改ざんされるリスクを大幅に軽減できるのです。

3-3.検認の手間を省ける

相続が開始する際、遺言書が見つかったら原則として、家庭裁判所で検認を受けなければなりません。
仮に検認を経ずに遺言書を開封した場合、5万円以下の過料を課されるリスクがあります。
公証役場で遺言書を作成する場合、原則として検認を受ける必要がありません。
なぜなら、公証役場で公証人によって文書化されていることで法的な有効性が高いからです。
また、遺言書の原本が公証役場で保管されることで、偽造や改ざんなどのリスクが少ない点も理由として挙げられるでしょう。
公証役場で遺言書を作成する場合、検認が不要となるため、相続が開始したら速やかに遺言内容の実現に取りかかれるとともに、相続人の手間を省けます。

4.公証役場で遺言書作成する際の注意点

公証役場で遺言書を作成する際の注意点は、下記のとおりです。

  • 費用がかかる
  • 証人2人の立ち会いが必要
  • 基本的に公証人には遺言内容に関する相談はできない

それぞれ詳しく解説します。

4-1.費用がかかる

遺言者が自筆で作成する自筆証書遺言は、基本的に費用がかかりません。
遺言を書き記す紙とペンがなければ、それらを用意する費用くらいでしょう。
公証役場で遺言書を作成する場合、公証人の手数料や場合によっては証人への謝礼も必要です。
また、公証役場へ行くための交通費もかかります。
公証役場で遺言書を作成する場合はこれらの費用がかかることを把握したうえで、どの程度の費用が必要か事前に計算しておくことが重要です。

4-2.証人2人の立ち会いが必要

公証役場で遺言書を作成する際には、証人2人の立ち会いが必要です。
証人は誰でもいいわけではなく、いくつかの要件を満たす必要があります。
例えば、未成年者は遺言内容を把握する能力がないとして、証人として立ち会ってもらうことはできません。
また、推定相続人や受遺者などの相続に関して利害関係がある人も、原則として証人に選べないので注意しましょう。
証人の選定に悩んだ際は、弁護士をはじめとした専門家に相談したり、手配を依頼したりするのがおすすめです。

4-3.基本的に公証人には遺言内容に関する相談はできない

公証役場で遺言書を作成する場合、公証人へ遺言内容を相談したいと思っている人もいらっしゃるでしょう。
公証人は遺言書作成について相談にのってくれますが、原則として個々の相続対策や遺産分割に関する相談は受けてくれません。
そのため、将来の相続トラブルを防いだり、スムーズに遺産分割を進めたりするための遺言内容を考案したい場合は、弁護士をはじめとした専門家への相談がおすすめです。

5.まとめ【公証役場で遺言書を作成する場合は弁護士へ相談を!】

いかがでしたか?

今回は、公証役場で遺言書を作成する際の流れについて詳しく解説しました。
公証役場で遺言書を作成する場合は、遺言内容の考案→相談の予約→公証人との相談→証人を用意する→作成の予約→公証役場で作成の流れで進めるのが一般的です。
ただし、公証役場で遺言書を作成する場合は、費用がかかったり、証人の立ち会いが必要だったりする点に注意が必要になります。
また、公証人には具体的な遺言内容に関する相談ができません。
将来の相続トラブルを防いだり、スムーズに遺産分割を進めたりするための遺言内容を考案したい場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
広島市にある「いちじょう法律事務所」では、初回相談無料で承っています。
弁護士として15年以上活動してきた経験をもとに、適切なアドバイスを心がけておりますので、相続問題でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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